大衆・佐倉小五郎の思索記

大学院生による、アカデミック系なブログ。主に教育学を中心にし、学問・知識論、20世紀西洋思想を中心に思索する。

【エッセイ】東京の諸相—大型書店1(紹介版)

東京には、大型書店がいくつかある。それも、他の都市ならば最大級と言われる規模の書店が何件もあるのである。先日、大阪に参った時には、丸善・ジュンク堂に訪れたが、そのような規模の書店が何件もあるのである。

 

ここでまず宣言させていただきたい。私は本が大好きなのである。そして、書店に訪れるのが大好きなのである。なので、旅行先に行く時は、まずそこにどのような書店があり、どのような古本屋があるかを調べてしまうのである。奈良に旅行に行ったときである。奈良公園を歩いたあと、僕はiPhoneを使って「奈良 書店」とググっていた。完全に無意識で。その時思った。俺、世界遺産の都市に来たのに何をしているのだろう、と。それくらい書店が大好きなのである。おそらく、学部時代で真剣に講義を聞いた時間と、書店にいた時間を比較すると、圧倒的に後者が多いくらいである。

 

しかし、そのような書店があると、一体どこに行くべきか迷ってしまうであろう。私のその一人であり、毎回、(生協という10%オフをするぐう畜を使う時以外は)迷ってしまう。そこで、私なりに東京の大型書店を示し、そしてその書店の特色を示していこうと思う。この基準は私、特に人文科学ホリックが示しているので、社会科学や自然科学でこれと同じかと言われれば、まったく自信はない。なので、基本的に特徴として挙げるのは人文社会系の評価である。しかし、基準としていただければ幸いである。

 

【おススメの書店】

1.丸善丸の内本店

2.八重洲ブックセンター八重洲本店

3.三省堂書店神保町本店

4.東京堂書店神保町本店

5.ジュンク堂池袋本店

6.紀伊國屋書店新宿本店

7.紀伊國屋書店新宿南店

8.ブックファースト新宿店

9.芳林堂高田馬場店

 

ここに示した書店は私の行きつけである。あれ?ここはいい書店なのに出ていないよ?と言う方。その通りである。私は古風な書店が好きなのだ。そして、肌に合わない本屋は、今回入れなかった。なので、漏れが多いのかご承知願いたい。そして、マニアックな書店(マルクス主義ばかりの本屋、文化論しかない本屋など)はまた別の機会に紹介したいと思う。

 

さて、それぞれの特色を述べようと思う。

まず、1.丸善丸の内本店 (http://www.junkudo.co.jp/tenpo/shop-maruzen_marunouchi.html) である。ここは私が考える中で最も素晴らしい書店である。売り場面積、蔵書数ともにトップクラスである。しかし、それだけでは1番を与えない。その特徴は、①洗練された内装、②心地が良いBGM、③レイアウト、④コーナー設置、⑤洋書の数、⑥松丸本舗、である。①~③は要するに環境である。これだけは他の書店を追随しないであろう。本を選ぶ時に、購買意欲をかき立てるような環境を設置しているのである。1、2階は高い天井の白い空間が明るさを感じる。3階、4階はシックながら主役である本を鮮明に映し出す、絶妙な暗さ。そして、全体に広がる「知」へのイメージづけ。どれをとっても完璧である。そして、1、2階が実用的な本となっており、ビジネスマン達が1階で社会科学関係の本を読み、2階で趣味、雑誌などを眺めるようになっている。3階は人文・自然科学・文庫と、知的な愉しみをかき立てる雰囲気となっており、年配の男性や大学生が多く集まっている。4階は洋書、文房具のコーナーとなっており、3階と同様、落ち着いた雰囲気で買い物ができるように工夫してある。しかし、4階の真骨頂は、何と言っても「松丸本舗」である。このコーナーは編集工学者の松岡正剛が作ったコーナーであり、他に見ない独創的な展示の仕方とカテゴライズを行っている。例えば、「街」というテーマであったら「ウィーン、ベルリン、上海、東京」と置き、「進化」であったら「体の進化、脳の進化、意識の進化」といった具合である。そして、丸善が明治から誇る洋書コーナーも健在である。しかし、ちょっとお高い・・・。このように、丸善は非常に魅力的な書店である。東京の玄関口である東京駅から徒歩1分なので、ぜひ東京に来たら足を運んでほしい。

 

次に、2の八重洲ブックセンター八重洲本店である。東京駅といったら、どちらかというとこちらを挙げる方も多い。特に、丸善がまだ改修される前を知る年配の方がこちらを挙げる傾向にあるようだ(現在、丸善丸の内本店はOAZOという総合施設の中に入っている)。八重洲ブックセンターは独立のビルを持っており、その広さも随一である。この本屋の特徴は、なんと言っても縦の広さであろう。とにかく、縦に長い。そして、エスカレーターが5階までしかない(エレベーターはすべての階にある)。エレベーター嫌いの私には、少し辛いところである。そして、メインは八重洲・日本橋地区ということで、こちらも一般向けの図書が多い。特徴としては、①西洋では古代〜近代の思想を中心としている②他の書店にない本があったりする、であろう。レイアウト、コーナーについては普通の本屋より少し工夫されている程度か。しかし、最大の強みは、他にない商品を扱うところであろう。逆に、それ以外の目的でわたしは行かない。東京駅の八重洲口からすぐなので、近くに行ったら行く価値はあるだろう。

 

3の三省堂神保町本店に移る。この本屋は何より立地が最高である。世界最大の古書街、神保町のほぼど真ん中にあるからである。さらに、学生街らしく、美味しいカレー屋が多いのも特徴である(特におすすめはエチオピア カリーライス専門店 エチオピア である。無難な奴だとか言っちゃダメ!)。他にもラーメンその他の店も充実しているので、神保町を楽しむのには欠かせない。と、話が脇道にそれたが、要は私はご飯ついでに神保町に行っているのである。そして、引力に負けていつもここに行ってしまうのである。さて、この本屋、特徴は①企画が充実している②重要文献はほとんど抑えてある③手広い商品であろう。この本屋、何が最高かといって、最近の本で、確実に重要な本はほとんどある点である。だから、ここにないとわかると、他の本屋より凹む度合いが大きい。そして、企画が面白い。有名な先生による企画コーナーが割と多い。そして、その案内の仕方が他の企画よりも丁寧なのも特徴だろう。最近だと西山雄二、大澤真幸だろうか。しかし、レイアウトや内装は「The書店」という様相である。「本屋に来た!」と感じたい人にはおススメである。そして最大のトラップがある。そう、古書店トラップである。悩んだ末に買った本、それを片手に古書店に行くと・・・なんとそこには買った本が!しかも安く!この時の絶望感は異常である。それも含めた、書店巡りの愉しみなのだが。そのような意味で、書店巡りの愉しみを正面から楽しめるのがここの特色と言ってもよいだろう。

 

4に移る。東京堂書店であるが、ここは特徴の塊である。単純に「変わっている」本屋であると言ってよい。その特色は、①法政大学出版会の本が驚くほど売っている②絶版本がよく落ちている③全集本が良くある④店員がやたら本に詳しい⑤マニアックな本が多い、であろうか。まず見てほしいのが①。ここまで法政大学出版会の本を扱う本屋も少ない。それも、品切れ中の本もあるのである。無理もない。約2m×約7mの本棚すべてを使っているのだから。私は法政大学出版会の本を買うとき、ここを見る。それでなければもう諦めるからである。そして、よくある絶版本。全集が売れないこのご時世、もう版を出してないであろう全集まである。さらに、マニア心揺さぶる本の数々。現代思想好きにはたまらないような企画設置とくれば、最高である(最も、私はあまり現代思想を好まないが)。そして、買い物中に聞こえる店員の話し声。「ヒュームの人性論ってあったっけ?」という、本をしっかりと把握した上でもやり取り。最近の本屋にはあまりない光景である。書店ホリックとしては、涙が出る環境である。しかし、個人的な難点を述べるならば、改装した後にできたカフェである。もともとあまり大型書店としては広くなかった売り場面積が、さらに小さくなった。こればっかりは「資本主義馬鹿やろう!」と叫ばずにはいられない。

 

まだ半分残っているが、今回はここまでとしたい。質問があれば、コメントでお願いします。

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ブログを開設しました。いつ書けるかわかりませんが、エッセイから書いた論文の要旨と宣伝などを行っていきます。論文執筆、エッセイ、コラム執筆、書評、その他アカデミック関係の仕事であれば、よろこんで承りますので、どんどん連絡をください。連絡先、書ける内容などは以下に書きますので、それを参考にしてください。

一応、自己紹介。
大学院生で鈍牛。専門は教育思想史、学問・知識論、都市論。都市科学研究会代表です。特に関心があるのは、私たちがどのように考えて社会で生活するかです。20世紀初期~中期のイギリスを中心とした、西洋思想、特に倫理学教育学について研究しています。論文執筆、エッセイ、コラム執筆、その他どんな仕事でも基本的に承ります。

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【専門分野】
主専攻:教育学(教育哲学、教育人間学、教育思想史、教育社会学、臨床教育学など。以下の副専攻の方法論を使って、科学リテラシー論を中心に論じています。具体的には、科学リテラシーにおける実践的知識・近代主義シティズンシップの研究を行っています。)
副専攻1:都市論(基本的に、教育学倫理学政治学哲学、科学哲学、科学技術社会論社会学歴史学生態学言語学博物館学といった方法論を使って都市について様々に論じていきます。)
副専攻2:学問・知識論(20世紀思想、特にウィトゲンシュタイン、トゥールミン、バーリンポパー、デューイ、ギブソンハイエクなどを中心にして「知性」というテーマを設定して記述します。それ以外でも、フランクフルト学派、現代イタリア思想、規範倫理学共同体主義なども議論の射程に入っています。)

主にエッセイを書いていきたいのですが、主専攻についての研究メモと副専攻に関する覚え書きも中心にしていこうと考えています。

このような私ですが、ご興味がある方はぜひこのブログを読んでいただけますとうれしく思います。

 

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